父アブラハムの生涯

メッセージ

<創世記 25章1~11節>
牧師:徳本 篤 師

開会聖句

あなたの名はアブラハムとなる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである。

<創世記 17章5節>

メッセージ内容


序文)
進化論では、人は動物から進化して現在のような人間になったと説明します。しかし、キリスト教教育の前提は、人は人に育てられて人間となると説明します。人が動物を飼育することはできますが、動物が人を育てることはできません。世界の各地でオオカミに育てられた少年や少女の話があります。その中には信憑性に欠けるものもあります。共通している点は発見された時は動物のようだったが、施設に移して愛情を込めて世話すると、わずかに人間らしくなりますが動物の習性は生涯残ったままでした。
仮に、ある人に聖書だけを与えて、宗教的な雰囲気が整った教会に連れて行っても、それだけで自動的にクリスチャンになるものではありません。先に神を信じたクリスチャンが、初心者に根気強く聖書を教え、信仰生活のあり方を具体的に指導することによって、新しいクリスチャンは生まれ、成長するのです。
全世界の人々に救いと永遠のいのちを与える計画を実現するために神が最初になさったことは、神を信じる心を宿したアブラハムとサラ夫妻を選ばれたことです。すべてはこの二人の信仰者から始まったのです。

本文)
創世記25章には、アブラハムが平安な老年を迎え、175年の長寿を全うしたことを記録しています。その彼が、この世界の宗教史に残した重要な役割とその影響をまとめて振り返ってみたいと思います。

1. 旧約聖書におけるアブラハムの信仰の遺産
「神のデザイン」の著者エルマー・マーティンズ師は、イスラエルの宗教の発祥が出エジプト3章6節において、神がモーセに「わたしは、あなたの父の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」と呼びかけられた場面からだと指摘します。創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の著者であるモーセと神との出会いはこの時が最初となります。したがってそれ以前の創世記の記録のすべては、神がモーセに呼びかけられるまでの背景を形づくるものです。このように旧新約聖書66巻のすべてはイスラエルの宗教が「アブラハムの神」を礼拝する人々であることを表します。さらにアブラハムが神から受けた様々な経験とその記憶、宗教的儀式のあり方や習慣、神との間に交わされた祝福と呪いの契約、将来の天の御国のモデルとなったカナンの土地を所有する権利などが、そのままアブラハムから、アブラハムの子孫であるイスラエルと、キリスト教会の遺産としてに代々受け継がれてきたものです。

2. 新約聖書におけるアブラハムの信仰の遺産
使徒パウロは、イエス・キリストの福音の中心が、ガラテヤ3:29において、バプテスマを受けてキリストにつく者とされたすべての人々は、「アブラハムと同じように神に選ばれた、アブラハムの子孫であり、約束による相続人である。」にあることを強調しています。 すなわちクリスチャンとは、アブラハムと同じように、神に選ばれて、アブラハムの子孫とされた人々であり、天の御国の相続人なのです。 
パウロは創世記12章で神とアブラハムとの間に結ばれた契約が、キリストのみわざによって実現したことを全世界の人々への福音として語り伝えているのです。アブラハムが神のみことばに聞き従った信仰と生活の習慣も、新しく生まれたキリスト者たちの信仰生活のモデルとして受け継がれ、実践されてきました。

3. ユダヤ教の指導者たちによって歪められたアブラハムの伝承
ユダヤ人がアブラハムを崇敬している理由は、イスラエルの祖先としての彼の栄光であり、神の契約の受取人として選ばれた人、厳しい試練に耐えた模範的な信仰の人であったことです。しかし、ユダヤ人たちはいつからかアブラハムの子孫らしくないことをするようになりました。ユダヤ人は、その点をキリストから指摘されたことでショックを受け、同時に、自分たちの立場が失われることに恐れを感じました。ユダヤ人はそれを悔い改めようとはせずに、かえってキリストを神を冒涜する罪人に仕立て、キリストに対する強い敵対心をあらわすようになりました。

4. イスラム教に多大な影響を与えたアブラハムの存在感
イスラム教はユダヤ教とキリスト教を退けています。そのイスラム教のコーランには、旧約聖書から引用されたアブラハムに関する記述が188個所登場します。イスラム教においてアブラハムは重要な人物として扱われています。コーランには、アブラハムは彼の長男であるイシュマエルとともにメッカを訪問し、そこに寺院を建てました。アブラハムはイシュマエルとともに、その寺院で最初に礼拝をささげた人物だと言われています。アブラハムは、イシュマエルの子孫に与えられた神の契約の受取人だからです。さらに、アブラハムは人間としても、信頼できる人、正しい人、心の純真な人、忠実な人、敬虔な人、同情深い人として、絶大な支持を受けています。また、アブラハムは宗教の指導者として、イスラムの預言者ひとり、人々の救い主、信仰の導き手、奇跡の人、パラダイスへの道案内人として、非常に尊敬されている人物です。

応答)
アブラハムのふところで安らぐラザロの姿
最後に、キリストが譬え話の中でアブラハムについてどのように語られたかに注目してみましょう。特に有名なのは、ルカ16章の「金持ちとラザロ」の話です。そこに「アブラハムのふところで安らぐラザロ」の姿が描かれています。「アブラハムのふところ」とは、ラザロが、彼の死後に運び移された永遠の休息の場所(パラダイス)をあらわしています。ラザロがアブラハムのふところに寄り添う姿は、当時のユダヤ人の習慣として、宴会に招かれた客をもてなす、その家の主人の姿がモデルになっています。キリストは「アブラハムのふところ」をあらわすことによって「神との親密な交わりの場所、天のパラダイスでの暮らしの様子」を明らかにしておられます。

きょうの鍵となることばは、「アブラハムの神」です。私たちがこれから後も変わることなく、いつもまでも信頼し、より頼んでいるべきお方は「アブラハムの神」です。キリストの大きな犠牲と恵みによって、私たちはすべての罪をゆるされ、アブラハムの子孫の中に加えていただきました。 今日、もう一度、アブラハムから、偉大な信仰の遺産を受け継がせて頂いたことを喜び、すべてが主のご計画によることを感謝して讃美しましょう。

聖書のことば)

「もしあなたがたがキリストのものであれば、それによってアブラハムの子孫であり、約束による相続人なのです。」(ガラテヤ3:29)

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新聖歌

開会祈祷後:145番、メッセージ前:216番、メッセージ後:172番

聖書交読

詩篇 139篇1~12節

お知らせ

★本日の礼拝後に女性会の讃美練習を行います。その後にムジカの讃美練習を行います。
★今週18日(土)大阪CGCにおいて教団協議会が開催されます。千里教会から代議員として信徒Kと徳本師が参加されます。
★次週19日(日)石橋教会において福音聖書神学校卒業式が行われます。卒業されるのは教会伝道者課程の笹田さつき姉(平)山中葉子姉(寝)須見啓子姉(大阪CGC)の三名です。

2017年度前半の主な教会行事
4月16日(日)  イースター礼拝
4月23日(日)  合同記念会
4月30日(日)  北部地区講壇交換(藤野師来会)

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