十二部族誕生の秘話

メッセージ

<創世記 30章1~24節>
牧師:徳本 篤 師

開会聖句

神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。

<ローマ人への手紙 8章28節>

メッセージ内容

序文) 女性は子を産むことによって救われるって本当?
本日の聖書個所である創世記30章では、姉のレアと妹のラケルとが子どもを産むことで必死に競い合ったことが書かれています。この本題に入る前にぜひ解決しておきたいことがあります。
Ⅰテモテ2章15節に、

「しかし、女が慎みをもって、信仰と愛と聖さとを保つなら、子を産むことによって救われます。」

と書かれていることです。私たち夫婦は結婚後5年間子どもがなかったことは機会あるたびにお話ししていますが、そのような時に、子どもを産まない女性は救われない、とも読めるこの聖書のことばは私たちにとってつまずきでした。パウロがなぜそのように書いたのか理解できなかったからです。また女性が男性を教えてはいけないということも、その背景に同じような理由があったからだと思います。
その背景を探るヒントになるのは14節です。

「女は惑わされてしまい、あやまちを犯しました。」

と書かれています。この言葉には、当時のエペソ教会が異端の教えとの厳しい闘いの中にあったことを暗示していることです。異端の教師たちはどのようなことを教えていたのでしょうか。Ⅱテモテ2章18節に

「復活はすでに起こった」

と教えていたことが書かれています。彼らはキリストの再臨の時に約束されている復活のことを、バプテスマの時の新しいいのちと混同する過ちを犯しました。それは単なる過ちだけに止まりません。彼らの生き方がマタイ22章30節で主イエスが語られているように、

「すでに復活した我々は、めとることも、とつぐこともなく、天の御使いたち」

のようになったと信じていたからです。その結果、結婚は不必要であり、子どもを産むことは汚れたことだと主張しました。Ⅰテモテ4章3節に

「結婚することを禁じたり、食物を断つ」

ことを追い求めた根拠がそこにあります。さらに、天の御使いのようになったのだから、自分たちを縛っている既存の社会の制度や習慣や秩序から解放され、どこででも自由に振舞うことができると主張しました。
パウロはキリストの使徒として、教会の教えの健全さを保ち、この世の人々から疑いをかけられないようにする責任を感じていました。ですから、教会は反社会的な教えではなく、秩序を大切に考えており、常識ある者たちであることを自分たちの行動を通してあかししなければなりませんでした。王のために祈り、集会中の雰囲気が秩序正しく行われ、教会の指導者は教会外の人からも非難されるところがない者が選ばれるべきだと命じました。
その一方で、異端の影響から教会を守る責任がありました。14節は異端の教えに影響を受けた女性たちを指して語られたものです。その数は少なくなかったようです。彼女たちは教会の中で、結婚を不要なものとし、子どもを生むことに批判的でした。男と女の区別のない立場から自由に発言し、そのように振舞うことができると主張しました。パウロはこのような不健全な教えに対して、神が定められた結婚の定めを重んじることを教え、男女を問わず神の教会ではそれにふさわしく敬虔で慎み深く振舞うように命じたのです。

それにしても、女性にとって子どもを産むという問題はとてもデリケートなことです。神がそのことに深く関与しておられることにも、人知を超えた神のあわれみと不思議な力を覚えさせられます。

本文)
先にも話したように創世記30章は、子どもの出産をめぐって姉レアと妹ラケルが女同士の必死の競い合いが記録されています。そのことを通して私たちに語りかけておられる神の御声に耳を傾けてみましょう。

1 神が公平に扱われていることが当事者にとって分かりづらい
ラケルは夫に愛されていることよりも、自分が不妊の女であることを不公平だと思いながら、次々に子どもが生まれる姉に嫉妬します。レアの方は夫に多くの子どもを生むことができたことよりも、夫が自分よりラケルを愛していることを不公平だと思いながら、妹を憎く思います。人の幸福の感じ方は自分にあるもので満足することより、自分にないものに対して不満に思うことの方がより強くあらわれることを知らされます。例えば、互いの立場が入れ替わっても、また同じようにどちらも不満に思うのではないでしょうか。

29:31 主はレアがきらわれているのをご覧になって彼女の胎を開かれた。ラケルは不妊の女であった。 30:22 神はラケルを覚えておられた。神は彼女の願いを聞き入れて、その胎を開かれた。

レアもラケルも自分の願いが叶うことだけに心が集中していましたので、神が二人を同じように愛しておられることや、別々にではあるが公平に扱っておられるとはとても思えませんでした。

2 不信仰になるとき人間的な解決案が繰り返し行われる
創世記30:3~5でラケルが語ったことばは、かつて創世記16章において、サラがアブラハムに自分の女奴隷ハガルを与えて子どもを得ようと提案した時とほとんど同じです。他人の失敗から学ぶより、そのアイデアにヒントを得てそれを自分にも適用しようとするものです。人は神のみこころが分からなくなったとき、約束を待てなくなったときに、自分のアイデアを様々な理由で正当化する傾向があることを思わされます。自分たちにも同じような傾向があることを正直に認め、ともに祈り、注意深く向き合っていきましょう。

3 人の思いを超えて働いておられる神の計画
レアとラケルとの必死の競い合いが結果的にはヤコブに12人の子どもを生むことになりました。それが歴史上のイスラエルの12部族を誕生させる土台になったことは驚きです。勿論、競い合っていた当人たちはそこまで考える余裕もなかったと思いますが、神は彼女たちを通してご自分が約束された計画を確実に進めておられたのです。

適用)
聖書に

「この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。この人々は、血によってではなく、肉の欲求や人の意欲によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである。」(ヨヘネ1:12~13)

また、

「事は人間の願いや努力によるのではなく、あわれんでくださる神によるのです。」(ローマ9:16)

と書かれています。
私たちは今日のレアとラケルのことから次のように考えましょう。神が人を用いられるとき、それが本人の熱心な思いや知恵によってではなく、本人たちのすぐれた信仰や満たされた感情によるものではないということです。しかし、私たちが気づいていない時でも、あわれみ深い神は、ご自身の御手の中でしっかり握っておられていることを思い起こしましょう。

自分が望むことから、神が望まれることへ、気持ちを切り替えれば、心が軽くなります。
そうすれば神はもっと自由に働かれることになるでしょう。
神があなたに望まれることを追い求める、それがあなたの進むべき道です。

メッセージ内容のダウンロード(PDF80KB)

新聖歌

開会祈祷後:18番、メッセージ前:406番、メッセージ後:357番

聖書交読

詩篇 31篇1~8節

お知らせ

★本日礼拝後、次週の讃美礼拝のため上下階の会堂掃除を行います。 聖歌隊の練習も並行して行います。ご協力ください。
★本日午後、5月度の定例運営委員会を行います。
★教団新施設「MB宣教センター」建設計画は10月からの着工に向けて、基本設計確定、地元説明会、解体工事、建築確認申請の段階を踏まえつつ準備を進めています。お祈りください。

2017年度前半の主な教会行事
5月28日 讃美礼拝 聖歌隊の合唱
6月04日 ペンテコステ礼拝
6月13日-15日 牧師研修会(能勢川キャンプ場)
6月24日 役員リーダー研修会
6月25日 讃美礼拝 Y兄姉による特別讃美

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