健全な教え

    令和5年5月8日(月)より新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行することに伴い、礼拝での規制を緩和します。具体的には、会衆讃美は全節歌唱する、省略していた聖書交読を復帰し、司会者朗読→会衆朗読を交互に行います。
    なお、礼拝中のマスク着用は引き続き推奨、「平和の挨拶」の握手の自粛は今後も実施しますので、ご理解とご協力を宜しくお願いいたします。

    メッセージ

    <テトスへの手紙 2章1~15節>
    牧師:砂山 智

    開会聖句

    実に、すべての人に救いをもたらす神の恵みが現れたのです。

    <テトスへの手紙 2章11節>

    メッセージ内容

    Youtube動画

     公開が遅れて申し訳ありません。
    メッセージ動画公開:7/4 PM 4:27


    メッセージ原稿を公開しました。  

    <序論>  
    ・パウロの手紙の中でも「テモテ」とともに牧会書簡と呼ばれています。それは、パウロが、教会の運営(牧会)につて、若い弟子であるテトスを励まし、指示を与え、偽教師に注意するようにと教えているからです。テトスは「ガラテヤ」によるとギリシア人であり、パウロの伝道によって弟子となりました。彼は、パウロ、バルナバとともに「使徒」15章に記されているエルサレム会議に出席し、パウロの第三回目の伝道旅行の際には、パウロの代理として、当時、混乱の中にあったコリント教会に派遣されました。また、そのコリントで、エルサレムの貧しいクリスチャンたちのための献金を集めたりもしています。そのあたりの経緯は「Ⅱコリント」をお読みいただければよくお分かりいただけると思います。
    「使徒」の最後は、パウロがローマの牢獄で丸2年を過ごしたところで終わっていますが、彼は、その後、釈放されて、エペソ、マケドニアを訪れた後、クレタ島にまで足を延ばして伝道したと伝えられています。そして、その時、誕生したクレタの教会の牧会者として残されたのがテトスなんです。クレタというのは、ギリシア本土から南へ約160Km離れた地中海東部に位置する島で、面積は日本の広島県くらいの広さ、地中海では、シチリア島、サルディーニャ島、キプロス島、コルシカ島に次ぐ五番目に大きな島だそうです。パウロは、そのクレタ島で伝道した後、ニコポリというギリシア南部のアドリア海に面した町に移るのですが、そこで、この「テトスへの手紙」を書いたのでは、と考えられています。そして、その後、再びローマ政府によって捕らえられ、ローマへ移され、その獄中から最後の手紙「Ⅱテモテ」を書いた後、殉教したとされています。

    <本論>
    1.健全な教え

    1節のみことばをもう一度ご覧ください。

    『しかし、あなたは健全な教えにふさわしいことを語りなさい』(テトス2:1)。

    牧会書簡には「健全な教え」ということばが8回も出てきます。ズバリ、キーワードと言ってよいでしょう。その背景には、最初にお話ししましたように、偽教師の存在があったようです。彼らがどんな人たちであったか、詳しいことは分かりませんが、一つ前の1章10~11節を通して、少し知ることはできます。

    『実は、反抗的な者、無益な話をする者、人を惑わす者が多くいます。特に、割礼を受けている人々の中に多くいます。そのような者たちの口は封じなければなりません。彼らは、恥ずべき利益を得るために、教えてはならないことを教え、いくつかの家庭をことごとく破壊しています』(同1:10~11)。

    「割礼を受けている人々」というのはユダヤ人クリスチャンのことですが、3章9節にもあるように、彼らはユダヤ主義者と言うか、自らの民族のアイデンティティーにこだわる人たちであったようです。そして、先程の11節には、いくつかの家庭をことごとく破壊していますとありましたが、何かあのカルト教団を思い浮かべてしまいます。彼らの教えは、一人の人の心だけでなく、その家庭をも破壊していたのです。

    2.奴隷には
    それでは、そんな偽教師にだまされないようにと、パウロがテトスに伝えようとした健全な教えとは、どのようなものだったのでしょうか?今朝の2章では、年代や性別ごとに語られます。まず、年配の男性。そして年配の女性。さらに若い人、そして最後は奴隷です。この奴隷だけは、年代や性別による括りではなく、当時の社会的な身分での括りですけれども。そして、それらの人たちにパウロが勧めていることは、ある意味、極めて道徳的と言えるような内容です。現代人である私たちの感覚からすると、少しジェンダー(性)による違いを強調しすぎているのでは、と思われたかもしれません。さらに奴隷に対してというのは・・・?現在でも、時々、「過労死」や「ブラック企業」、或いは「パワハラ」という言葉は聞きますが、ここで言われている奴隷とは根本的に違います。奴隷は、人間でありながらも牛や馬のように売買され、死ぬまで酷使される身分でした。もちろん、慈悲深い主人もいたでしょうし、能力や知識を認められて、主人から高い地位を与えられた奴隷もいたようですが、やっぱり奴隷は奴隷であり、今の時代には絶対に許されない制度です。ただ、今朝のパウロもそうですが、聖書には、奴隷制度そのものの是非について言及しているような箇所は見当たりません。ですから、聖書を解釈する際には、そのような時代的・社会的背景を理解した上でというか、聖書もやはり時代の制約の中で書かれたということを、私たちは忘れてはならないでしょう。

    3.神の恵みであるキリスト
    先日、教団の牧師研修会が行われ、テーマは「ハラスメント」だったのですが、LGBTQの問題然り、私が教会に通い始めた1970年代から見ても、当時ではとても考えられなかったような問題に、今の教会は、そして私たちは向き合わされています。もし、私たちの教会にLGBTQの方が来られたら、私たちはどのように対応したらよいのでしょうか?本当に難しい問題です。少なくとも言えることは、それらの問題に対して、私たちは結論を急ぐべきではないし、安易に聖書のみことばを用いて分かったような顔をするべきではないということでしょう。
    今の私たちがはっきりと言えることは、今朝の開会聖句の11節以降で言われていることだけではないかと思います。

    『実に、すべての人に救いをもたらす神の恵みが現れたのです』(テト2:11)。

    新約学者のウイリアム・バークレーは、この11節以降について、「新約聖書中でこの一節ほど、受肉の道徳的力を生き生きと説明している箇所は稀である」と書き残しています。すべての人に救いをもたらす神の恵み。それはもちろん、受肉されたキリストを指しています。この神の恵みであるイエス・キリストこそが、すべての良い業を行うことの揺るぎない基盤なのです。

    『実に、私たちは神の作品であって、良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行いに歩むように、その良い行いをあらかじめ備えてくださいました』(エペ2:10)。

    <結論>

    そしてさらに、今朝の箇所の後半の12節以降でパウロは、その恵み、すなわちイエス様は、この不敬虔な世に流されずに、再びイエス様がこの世に来られる時を待ち望むようにと教えている、と言っています。そして、

    14節のみことば『キリストは、私たちをすべての不法から贖い出し、良いわざに熱心な選びの民をご自分のものとしてきよめるため、私たちのためにご自分を献げられた』

    とは、ユダヤ主義者の偽教師たちを意識したことばのように思えます。なぜなら、この表現は旧約におけるイスラエル民族を連想させるからです。しかし、キリストがあの十字架の上でご自身を献げられた以上、もはやユダヤ人だとかギリシア人だとかは関係なく、すべて信じる者が新しいイスラエルに、新しい選びの民とされたということです。だから、パウロは、最後の15節で、若いテトスに向かって、

    『あなたは、これらのことを十分な権威をもって語り、戒めなさい。だれにも軽んじられてはいけません』

    と命じているのです。テトスは若いということもありましたが、ギリシア人でしたので、ユダヤ主義者たちから、「あんな奴、牧会者として相応しくない」と攻撃されていたのではないでしょうか。テトスはパウロのことばに本当に励まされたことでしょう。ただし、パウロが言っている権威というのはこの世の権威とは違います。イエス様は弟子たちに、

    『あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、皆に仕える者になりなさい』(マルコ10:43後半)

    と教えられたからです。
    今朝の説教の締めくくりとして、3章5~7節のみことばを読ませていただきたいと思います。先週のK姉の「御霊の働き」という説教を思い起こしつつ。

    『神は、私たちが行った義のわざによってではなく、ご自分のあわれみによって、聖霊による再生と刷新の洗いをもって、私たちを救ってくださいました。神はこの聖霊を、私たちの救い主イエス・キリストによって、私たちに豊かに注いでくださったのです。それは、私たちがキリストの恵みによって義と認められ、永遠のいのちの望みを抱く相続人となるためでした』(テト3:5~7)。

    メッセージ内容のダウンロード(PDF108KB)

    新聖歌

    開会祈祷後:156番、メッセージ後:220番

    聖書交読

    詩編6篇 1~10節

    2023年教会行事

    7月5日(水) オリーブいきいき百歳体操

    #55-2875

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