パンが尽きない人生

メッセージ

<マルコの福音書 6章30~44節>
牧師:徳本 篤

開会聖句

イエスは答えられた。「人はパンだけで生きるのではない。」と書いてある。

<ルカの福音書 4章4節>

メッセージ内容

序論) 「お食い初め」の習慣
地方によって、赤ちゃんの誕生後約100日目頃に「お食い初め(おくいぞめ)」という儀式が行われているところがあるそうです。それは子どもが「一生涯、食べることに困らないように」との願いを込めて食事の真似をさせる儀式で、その始まりは平安時代にまで遡ることができると言われています。
西欧でもこれと同じような儀式が行われています。赤ちゃんが幼児洗礼を受けるとき、銀のスプーンを贈る習慣があるそうです。子どもの将来を思う親の気持ちは世界中同じだと思います。

もし、一生涯パンに困らないことが保証されるならどう思いますか。今日の聖書の個所では、イエスが五つのパンと二匹の魚で五千人の人を満腹にされた奇跡が記録されています。パンを食べた人々は、もし、イエスを自分たちの王にしたら一生涯パンに困ることがないのではと期待するようになりました。その様子をご覧になったイエスはとても悲しい顔をされていました。そして、人々から離れて行かれました。一体、イエスは何を悲しまれたのか。なぜ、人々を避けて離れて行かれたのでしょうか。

本論) ピリポの心が堅く閉ざされていた理由
ヒントとなる個所が52節に

「彼らはまだパンのことから悟るところがなく、その心は堅く閉じ
ていたからである。」

と書かれています。五つのパンと二匹の魚の奇跡を行われる前に、ヨハネ6章6節で

「イエスは、ピリポをためしてこう言われたのであった。イエスは、ご自分では、しようとしていることを知っておられたからである。」

と書かれています。

「ためす」パライゾーという言葉の意味は、「品質検査」をあらわします。日本製の商品が世界中で高い信頼と評価を得ている背後には、日本企業の品質管理意識の高さにあると言われます。出荷前に製品の品質テストを行い合格した商品だけを送り出すように厳しく管理されているからだと言われます。

イエスは弟子ピリポの何を検査されたのでしょうか。52節から考えてみると、イエスはピリポの信仰の中身がイエスと出会う前と、出会ったから後とでどのように変化したかを知りたいと思われたようです。
イエスに出会う以前のピリポの信仰は、当時のユダヤの律法学者たちの教えに従っていました。律法学者は、「かつてモーセがエジプトの支配からイスラエル人を奇跡的な力で解放したように、のちの時代にモーセと同じような救い主があらわれ、彼は自分たちをローマ帝国の支配から解放するであろう。」と教えていました。ピリポはそのような救い主を待ち望み、イエスがその救い主であると信じて従っていたのです。

一方、イエスはパンを食べた人々がイエスを自分たちの王にしようと押し寄せて来たとき、イエスは彼らのもとから離れ去って行かれました。
それはこの人々の信仰の動機が間違っていたからです。人々は自分を支配する王を求めていたのではなく、自分たちの日々の必要を満たしてくれる、自分たちのために仕えてくれる王を求めていたのです。
イエスを王にすれば、これから一生涯パンに困ることがないと期待したからです。

適用)
もし、クリスチャンになることで自分の願いがかない、自分にとって有益になることを期待するなら、きっと失望するでしょう。イエスは同じような理由でユダヤの人々から離れて行かれたからです。間違った動機でイエスに近づこうとすれば、イエスはその人から離れて行かれます。

決断と応答)
イエスを信じるとは、自分の利益や都合を中心に考えるのではなく、自分の心の王座にイエスを迎えることなのです。イエスはそのように決断すること、私の主であると告白することを求めておられるのです。イエスを自分の必要を満たすための僕としてではなく、イエスを自分の王として心にお迎えすることが私たちの信仰となっているでしょうか。次の聖歌の歌詞を味わってみましょう。

<新聖歌346番 1節>
   かつてはわれ良きものを 求めて主を忘れたり
   賜物よりいやしより 与え主ぞ さらに良き
   わがすべての すべてなる
   主をば崇めん とこしなえに

イエスを心の中に迎え入れてこそ、まことの弟子、まことのクリスチャンに生まれ変わるのです。

メッセージ内容のダウンロード(PDF119KB)

新聖歌

開会祈祷後:340番、メッセージ後:201番

特別讃美

ムジカンパーニュ
「馬車よ下りてこい」新聖歌469番 Swing low,sweet chariot
「この人を見よ」作詞/作曲:山本信一郎
「主に向かって喜び歌おう」作詞/作曲:玉川吉昭
「タンバリンと踊りで」作詞/作曲:木谷直也
「小さな祈り」作詞/作曲:若林栄子
「日暮れてやみはせまり」新聖歌336番

お知らせ

★本日の讃美礼拝の特別讃美はムジカンパーニュでした。
★本日午後から6月度定例運営委員会が開かれます。
★福音聖書神学校は今週末から夏期休暇に入ります。
★次週7月3日(日)礼拝後聖餐式を行います。

#49-2508

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