食卓の下の小犬でさえ

メッセージ

<マルコの福音書 7章24~30節>
牧師:徳本 篤

開会聖句

この三人の中でだれが、強盗に襲われた者の隣人になったと思いますか。」彼は言った。「その人にあわれみをかけてやった人です。」するとイエスは言われた。「あなたも行って同じようにしなさい。」

<ルカの福音書 10章37~38節>

メッセージ内容

序文)
今日の聖書個所の背景はイエス様と弟子たちの一行が人知れず休息をとるためにユダヤから出て隣国のカナンの地方に行かれた時の出来事です。

本論)
あまりにも有名になられたイエス様。ユダヤではどこに行っても群衆が押し寄せて来ました。ですから、外国に出られて、ここなら大丈夫と思われる所で静かに過ごしておられました。そこにひとりの女性が助けを求めたやってきたのです。彼女はユダヤ人ではありません。聖書にはカナン出身のギリシヤ人だと書かれています。彼女には病気に苦しむ娘がおり、この子を何とか助けていただきたいとの思いに突き動かされて、イエス様がおられる場所を尋ねてやって来たのです。
彼女は自分がカナン人であり、イエス様に何かをお願いする立場ではないことは分かっていました。「食卓の下の小犬」とはそういう意味です。それでも娘を助けたいという必死な思いで懇願し続けました。ついに彼女の真剣な願いはイエス様に通じました。彼女の娘はイエス様によって助けていただきました。

適用) 神様は今日の聖書物語を通して私たちに何を教えようとしておられるのでしょうか。

1) 本物の信仰は時として思いがけない所に見いだされることです。
カナン出身のギリシヤ人の女性が、病気に苦しむわが娘のために「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください。」と、イエス様に助けを求めて叫んでいる場面(マタイ15章)を思い起こしてください。
もし彼女がユダヤ人であり、エルサレムの住民であったとしても、このように真剣な魂の叫びは本物の信仰のあかしであったでしょう。しかし、彼女が異国の町カナンの出身であったことを知るとき、一体彼女はいつ・誰からイエス様のことを「主」と呼ぶことを知ったのでしょうか。このような話は常識としてはあり得ないことに驚かされるのです。本物の信仰に導くのは、その人が住んでいる土地柄や環境、個人的な境遇などではなく、神様からの恵みなのです。私たちは人の魂が救われることを最初からあきらめてはなりません。

私の場合は仕事で早起きするためにラジオとタイマーをセットしたのがきっかけで、あくる朝ラジオから聞こえてきた讃美歌で目を覚ましました。そこからキリスト教に興味を持ったのです。
ある女性はたまたま書店で手に取った三浦綾子さんの本を読んだことからキリスト教に興味を持つようになられ、自分もクリスチャンになりたいと決心して教会を尋ねて来られました。

今日の物語のように言葉も文化も宗教も違う異国で生まれ、国籍が違っていても、神の国の恵みの御座に近づくことに不可能はありません。神様の恵みを妨げるのは、私たちの不信仰以外何物もないのです。

2)私たちが自分の必要や願いのためにイエス様に祈るときこの物語を思い出しましょう。
私たちは苦難や困難が差し迫った時に祈りなどしていて何の役に立つか、こんなに祈っても願いを聞いてもらえないならもうやめてしまおうか、と思いそうになることがあります。そうした心の誘惑に屈しないために、祈ることに失望してしまわないために、この女性の物語を思い出しましょう。

自分の成すべき務めを最後までやり遂げる力が与えられるように。試練に耐え抜く恵みの大きさを知ることができるように。あらゆる試練の中での平安と慰めをえられるように。自分のそのような必要のためにイエス様を見上げて、たゆまずに祈り続けましょう。

私たちにとって神様を見上げて祈るときほど本当に有意義な時間はないことを確信しましょう。イエス様は私たちの祈りに耳を傾けておられます。すでに、みこころの時に備えてその答えを用意しておられるのです。

3)私たちの家族や親族や友人のためとりなし願う時にこの物語を思い出しましょう。
私たちはイエス様に助けを求めて家族のために、親族や友人や職場の仲間のためにとりなし祈る者ですが、このカナンの女性のように、大切なひとりびとりに必要なことをイエス様の前に持ち出し、その人の名前をあげて願い続けましょう。 その願いが叶えられるには何年もの間待たされるかもしれません。祈ってすぐに何の変化もあらわれず、このまま祈り続けて何の役にも立たないのではと、あきらめたくなる日があるかもしれません。しかし、私たちは愛する人のために生命ある限り決してあきらめない覚悟を決めましょう。
カナン人の母親の娘を思う心の叫びに耳を傾け、その願いをかなえられたお方は私たちの祈りにも耳を傾けておられます。いつの日か喜んでイエス様に感謝する時が来ることを信じましょう。

「彼に信頼する者は、決して失望させられることがない。」(1ペテロ2:8)

今日この物語をともに聞かれた皆様のうえに、イエス・キリストとイエス・キリストの父なる神様、聖霊なる神様の祝福と助けが豊かにありますよう、お祈りします。

メッセージ内容のダウンロード(PDF14KB)

新聖歌

会衆讃美:262番、メッセージ後:344番

特別讃美

聖歌隊
新聖歌222番「罪の深みに」
新聖歌271番「ひと度はわれも」
新聖歌227番「キリストの愛我に迫れり」
新聖歌257番「キリストは生きておられる」
新聖歌470番「懐かしき住まい」
新聖歌481番「祈ってごらんわかるから」

お知らせ

★本日の讃美礼拝の特別讃美は聖歌隊による合唱でした。
★10月は昼食の奉仕を休みにします。
★S.T姉は9月22日(木)に退院されました。
★H.Y兄は集中治療室から一般病棟に移られました。
★中谷徳子姉は10月1日より施設に入所されることになりました。

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