二度目の誘惑と挫折

メッセージ

<創世記 20章1~18節>
牧師:徳本 篤 師

開会聖句

彼は、堅い基礎の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し建設されたのは神です。

<ヘブル人への手紙 11章10節>

メッセージ内容


序文)
昭和47年(1972年)に兵庫県加西市の大日寺境内で、背面に十字架が刻まれた地蔵が発見されたことがニュースになりました。この地域ではそれまで知られていなかった、隠れキリシタンの存在が、浮かび上がってきたからです。17世紀に徳川幕府による徹底したキリシタン取り締まりが行われたために、当時キリシタンと呼ばれた人々は、表向きは仏教徒として振る舞うことを強要されました。そんな厳しい状況の中でも、密かに信仰を捨てずに代々伝えていった人々がいたことをあかしするものです。
同じ頃17世紀のスイスやオランダにおいて、聖書のことばから確信する「信者の洗礼」を実行したために、カトリック教会から厳しい迫害を受け、国外に追放されたメノナイトの人々の歴史と思いが重なります。

本文)
神はエゼキエル16:6で、「生きよ」と命じておられます。厳しい状況の中で必死に「生きる」道を模索したアブラハムの体験を通して、アブラハムの子孫である私たちも、「生きる」道を学ぶ必要があります。

1. アブラハムが生涯抱え続けていた危険な状況
すでに紀元前のオリエント社会においては、夫のある女性を妻にすることは姦淫の罪として世間から厳しい裁きを受けることが定まっていました。モーセの律法では姦淫の罪は死罪に定められています。
20章9節で、アブラハムに対してアビメレクが「私と私の王国とに、こんな大きな罪をもたらすとは。」と、抗議しているように、そのことが重罪にあたるものだったことを明らかにしています。
ところがが、この掟には抜け穴がありました。もしその女性が未亡人となれば、正式に妻として迎え入れることが許されたのです。ダビデがバテシバとの不倫を揉み消すために、彼女の夫のウリヤを殺害させたのもそのためでした。(2サムエル11章)そのように、人妻の強奪を正当化するために、夫殺害が密かに行われていたことを知ると、アブラハムの悩みが如何に根深いものであったかが分かってきます。

2. アブラハムには「嘘」をつく以外に助かる道はなかったのか
もし、自分の力で自分の身を守ることができる相手だったなら、「嘘」をつく必要はありません。しかし、相手がその土地の権力者であるような場合には、ウリヤの時と同じように、自分の力ではその危険から逃れる道はなかったと、考えるのが常識です。
創世記12章に続く「二度目の嘘」は、神の奇跡が起きることを初めから期待し、それを前提にして自分の行動を決めることは現実的でなかったことを示しています。したがって、信仰を守り抜くために殉教することを他人に勧めたり、それを強要することはできません。強要してもいけません。もし、アブラハムのような窮地に立たされた場合、「嘘」をついてでも「生きる」道を選ぶことができると考えてよいでしょう。殉教を逃れるために隠れキリスタンとなった人々のことを風化させてはならないと思います。そして、アブラハムが「嘘」をついてまで「生きる」道を選んだことを心に留めておかなければなりません。

3. 90歳にしてサラは夫アブラハムから奪い取りたいほど魅力的な女性だったのか

創世記12:11と14で、「見目麗しい女」「その女が非常に美しいのを見た」と書かれています。エジプト人のパロも、カナン人のアビメレクもハム系の人々で、肌色が黒い人種でした。カルデヤ人のサラはセム系のため、肌色が白い人種でした。そればかりかサラの容姿と顔立ちが非常に美しいことから、周囲の人々には特別目立つ存在だったようです。1ペテロ3:5~6では、サラには主を恐れる女性としての気品と敬虔さがありました。そのように神と人とに愛されたサラの姿は、年齢を重ねてもなお、すべての男性が自分の傍にいて欲しいと思うほど理想的な女性だったかもしれません。

洞察) アブラハムが経験したすべてのことは目に見えない神のご計画だったのか
創世記21:22でアビメレクはアブラハムについて次のように証言しています。「あなたが何をしても、神はあなたとともにおられる」 そのことばの意味は創世記の記録を辿ってみるとよくわかります。
創世記11:31 故郷ウルを出た時のアブラハムは父と妻サラと甥のロトだけだった。
創世記12:16 アブラハムは羊の群れ、牛の群れ、ろば、男女の奴隷、雌ろば、らくだを所有する。
創世記13:02 アブラハムは家畜と銀と金とに非常に富んでいた。そのために甥のロトと別れた。
創世記14:14 アブラハムはロト家族の救出のため、しもべ三百十八人とともに追跡した。
創世記20:14 アビメレクは、羊の群れと牛の群れと男女の奴隷たちをアブラハムに与えた。
創世記20:15 アビメレクはアブラハムに自分の領地内で自由に住むことを許した。
創世記20:16 アブメレクはアブラハムに銀千枚を与えると言った。
創世記21:22 アビメレクが「あなたが何をしても、神はあなたとともにおられる。」と言った。

適用)

ヘブル書11章で、「設計し建設されたのは神である。」

と語られ、

詩篇118篇で、「私たちの目には不思議なことである。」

と書かれています。アブラハム本人には見えていないところで、神がデザインされた不思議な計画が着々と進められていたことを思うと、アブラハムが経験したすべてのことは、

「神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。」

とパウロがローマ8:28で語っているように、すべてのことが神の御手の中で行われていたことになります。

決断と応答)
では、今日の聖書個所から何を学ぶべきでしょうか。どんなことをしてでも「生きる」ことを最優先して選ぶことです。神の祝福とは、私たちが成功すること、成長すること、立派な人になることだけに限定されるものではありません。泣くこと、叫ぶこと、つまずくこと、悩むこと、あるいは失敗することさえ、目には見えない神の摂理のデザインのうちで計画が進められているのです。私たちの経験していることがどのような益になったのかを知るのは「今」ではありません。それは「将来の日」のために備えられているのです。
あなたがアブラハムの子孫であることを自認されているなら、アブラハムと同じ道を歩んでいきましょう。

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新聖歌

開会祈祷後:163番、メッセージ前:200番、メッセージ後:184番

聖書交読

詩篇 119篇1~16節

お知らせ

★本日の礼拝後に2月度の聖餐式を行います。
★7日(火)武庫川教会にてMB牧師会が行われます。
★8日(水) は2月度のおしゃべりティータイムを行います。
★2017年度年次総会を2月19日(日)礼拝後に行います。

2017年度前半の主な教会行事
2月19日(日)  年次総会
4月16日(日)  イースター礼拝
4月23日(日)  合同記念会
4月30日(日)  北部地区講壇交換(藤野師来会)

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