キリストの証人として

メッセージ

<テサロニケ人への手紙 第一 4章9~12節>
牧師:徳本 篤 師

開会聖句

また、私たちが命じたように、落ち着いた生活をすることを志し、自分の仕事に身を入れ、自分の手で働きなさい。

<テサロニケ人への手紙 第一 4章11節>

メッセージ内容


序論)
2014年のノーベル平和賞に選ばれた、パキスタン人女性マララ・ユサフザイさんは、当時17歳。世界最年少での受賞でした。マララさんは自分の身に迫る危険をおして、パキスタンで学ぶ機会を奪われた女性への教育を支援する活動を全世界の人々に訴えておられました。その姿が今でも心に焼き付いています。マララさんは、貧しい人々に食糧やお金を与えるだけでは根本的な解決にはならない。女性の自立支援こそがパキスタンの明るい未来に続く道であり、そのために彼女たちが教育を受けられるような環境をつくることが何よりも大事なのだと訴えられた。

本論)
1 テサロニケ教会の信仰と兄弟愛の実践についての評価
※9‐10節に紹介されているような兄弟愛の自発的な実践は、教会の多くが貧しい労働者であった彼らのうちに聖霊が豊かに働いておられることのあかしであった。

「あなたがたの場合は、キリストから受けたそそぎの油があなたがたのうちにとどまっています。それで、だれからも教えを受ける必要がありません。彼の油がすべてのことについてあなたがたを教えるように、――その教えは真理であって偽りではありません――また、その油があなたがたに教えたとおりに、あなたがたはキリストのうちにとどまるのです。」(Ⅰヨハネ2:27)

その兄弟愛の実践はテサロニケにとどまらず、マケドニヤ地方のすべての兄弟たちに対して、行われていたことが知れ渡っていたようです。

2 兄弟愛が引き起こした負の問題の発生
兄弟愛に満ちた温かい教会に新たなる問題が起きていた。11-12節の「落ち着いた生活」(原語にはこのような言葉はない)落ち着きを学ぶという意味。
「落ち着くhesychazo」とは「頭の中の蠅を追い回る」という意味。あちこち出歩いて自分の仕事に集中できない人々のことをあらわす。+「学ぶphilotimeomai」とは「働く意義について学ぶ。名誉ある生き方を追い求める。目標に向かって真面目に努力することに誇りを持つ」ことをあらわしている。

3 締まりのない生活者を生み出す背景には曲解された再臨信仰があった
キリスト者の中で、落ち着きのない生活をするような人が出て来た背景に、当時テサロニケの人々の間に広まっていた曲解された再臨信仰とその悪用が挙げられます。この人たちは主の再臨が近いことを理由に自分で働くことを辞めてしまった。その理由は、再臨が近いことで気持ちが舞い上がってしまい落ち着いて働くことに意味がないと考えたからです。それだけでなく、教会員の各家庭に出向いて、自分たちが勝手に想像した再臨の噂話を大袈裟に語り、まるで預言者気取りでその家に居座り、衣食の世話を当たり前のことのように振舞っていたのです。
信仰と愛の実践に燃えていたテサロニケの真面目な家庭がこのような人々にとって格好の食い物にされていた訳です。パウロは、第一の手紙と第二の手紙を通じ、そのように締まりのない生き方をしている人々を厳しく非難し、それでも、悔い改めないなら、そのような人々とは交わりを持ってはならないと命じてます。

4 教会内部の問題を教会外部の人々はどのように見ていたか
A ユダヤ人からの非難の声
ユダヤ人はパウロに対して「彼は異邦人にモーセの律法を無視するように教えている」という悪い評判が広まっていた。 箴言12章では、

「8人はその思慮深さによってほめられ、心のねじけた者はさげすまれる。 9身分の低い人で職を持っている者は、高ぶっている人で食に乏しい者にまさる。10正しい者は、自分の家畜のいのちに気を配る。悪者のあわれみは、残忍である。11自分の畑を耕す者は食糧に飽き足り、むなしいものを追い求める者は思慮に欠ける。」(箴言12:08-11)

と教えられているが、ユダヤ人の家庭の教育の基本は子どもたちが自分の職業に誇りを持って生きる人格とそれに必要な資格を身に着けさせることだった。ユダヤ人たちから見て、締まりのない歩みをしている人々の噂は、パウロの教え(キリスト教)が間違っているからだとする非難・攻撃の対象にされた。

B 一般社会からの非難の声
当時の一般社会から、「キリスト教は人々を怠慢にさせた。そのため多くの者を貧困者にしている」という悪い評判が広まっていた。
それは使徒たちがつねに警戒していたことであった。

「22 私たちは、あなたが考えておられることを、直接あなたから聞くのがよいと思っています。この宗派については、至る所で非難があることを私たちは知っているからです。」(使徒28:22)

それは、あかしの妨げになる行為であった。

「12 異邦人の中にあって、りっぱにふるまいなさい。そうすれば、彼らは、何かのことであなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのそのりっぱな行いを見て、おとずれの日に神をほめたたえるようになります。13 人の立てたすべての制度に、主のゆえに従いなさい。それが主権者である王であっても、14 また、悪を行う者を罰し、善を行う者をほめるように王から遣わされた総督であっても、そうしなさい。」(Ⅰペテロ2:12-14)

どんなに信仰深く生きているように振舞っても、締まりのない歩みをしている人々の様子を見た一般社会の人々は、キリスト教とは変な妄想に陶酔している奴らであり、信仰のために仕事を怠ける者をもてはやし、社会に混乱と貧困をもたらす、だらしない集団であるという軽蔑の目で見られていたようだ。

5 キリスト者の健全な労働観とその目的
パウロは自らも模範を示しながら、働くことの意義を次のように教えています。

「盗みをしている者は、もう盗んではいけません。かえって、困っている人に施しをするため、自分の手をもって正しい仕事をし、ほねおって働きなさい。」(エペソ4:28)

パウロは、使徒の働きの中で次のように教えています。

「このように労苦して弱い者を助けなければならないこと、また、主イエスご自身が、『受けるよりも与えるほうが幸いである』と言われたみことばを思い出すべきことを、私は、万事につけ、あなたがたに示して来たのです。」(使徒20:35)

私たちが働く目的は、他人に負担をかけないで、自分の必要を自分で満たすためです。さらに、力のある人はさらに力と財を増し加え、困っている人々を支援するためそれを大いに用いるべきです。

結論と応答)
1 自発的な兄弟愛の実践は、聖霊がその人々のうちに働いておられるというあかしです。
2 教会外部の人々に誤解を与えたり、悪い評判の原因となる非常識なことは極力避けるべき。
3 受ける恵みの豊かさだけでなく、与える恵みの豊かさにも目を向けて行こう

メッセージ内容のダウンロード(PDF85KB)

新聖歌

開会祈祷後:9番、メッセージ前:428番、メッセージ後:266番

聖書交読

詩篇 96篇1~13節

お知らせ

★本日の礼拝後に女性会の讃美練習を行います。
★本日の午後から8月度定例運営委員会を行います。
★運営委員会は「新改訳2017」を2018年からの公式聖書に公認し、それに備えて備品用10冊、個人用15冊分の購入を予約しました。(定価5,400円→早期予約価格5,000円+税)
★療養中およびご高齢の方々の平安と励ましのために祈りましょう。

2017年度後半の主な教会行事
8月4日~31日 教会堂外壁改修工事期間
9月3日 改修工事完成記念感謝会
9月24日 讃美礼拝 女性会合唱
10月8日 特別讃美礼拝 ゲスト:マキ&リリー
10月21日 オータムフェスタ:NBC
10月29日 MB教団講壇交換
12月24日 クリスマス礼拝 祝会

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