パラダイスに

大阪府における緊急事態宣言の解除に伴い、3月7日(日)より、礼拝を再開します。千里教会では3密を避けるため、当面の間 2 階の礼拝堂で短時間の礼拝を行うこととします。
体調のすぐれない方、ご不安な方および高齢の方は、当ホームページに掲載のメッセージ原稿やYoutube動画を活用いただき、それぞれのご自宅で礼拝をお捧げください。

メッセージ

<ルカの福音書 23章32~43節>
メッセージ:牧師:砂山 智

開会聖句

イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」

<ルカの福音書 23章43節>

メッセージ内容

Youtube動画


メッセージ動画公開:3/21 PM 3:26

メッセージ原稿を公開しました。 


<序論>  

聖墳墓教会

・今年の「イースター」は 4月4日ですので、今は「レント(受難節)」の期間ということになります。私たちの教会では教会暦というものを余り強調しませんが、ちょうど「イースター」の一週間前の日曜日がイエス様のエルサレム入城を記念する日で、そこから「受難週」が始まります。そして、イエス様が十字架に架けられたのは金曜日(日没から一日が始まるユダヤでは木曜日)の午前9時で、午後3時に息を引き取られ、安息日(金曜日)が始まる直前、つまり日没前に急いで埋葬されたのだろうと考えられています。23節に『どくろ(ゴルゴタ)』という呼び名が出てきます。その詳しい場所は分かっていませんが、エルサレム城外にあった処刑場で、アラム語の「グルガルタ」に由来することばだそうです。
今は、その場所だと思われる所に「聖墳墓教会」が建っていて、多くの観光客(巡礼者)が訪れる観光スポットになっています。

<本論>
1、父よ、彼らをお赦しください

34 節のイエス様の十字架上での祈りは余りにも有名です。

『「父よ、彼らをお赦しください。彼らは、自分が何をしているのかが分かっていないのです。」』(ルカ 23:34)。

イエス様は、あの「山上の垂訓」の中で次のように言われました。

『『あなたの隣人を愛し、あなたの敵を憎め』と言われていたのを、あなたがたは聞いています。しかし、わたしはあなたがたに言います。自分の敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい』(マタイ 5:43~44)。

ですから、34 節の祈りは、まさにこの教えを実践されたということでしょう。「言行一致」、或は「知行合一」という言葉がありますが、私は、これほどまでの「言行一致」「知行合一」を他に知りません。
ウィーン生まれのユダヤ人で、ヘブライ大学で長年教え、80 歳の時に生涯の研究の集大成として「ユダヤ人イエス」という本を著したダヴィッド・フルッサーという人がいるのですが、その方は次のような言葉を残しています。

「自分の敵を愛せよという命令は、イエスの決定的な特徴を表し、全新約聖書の中でそのような命令を私たちが聞くのは、イエスの唇からだけである」。

これは、ある意味、「人間の限界を超えた戒め」と言えるでしょう。自分の敵に対する人間の自然な反応は、報復、或は復讐であり、もし可能であれば、徹底的に相手を痛めつけることだと思います。自分自身のことを振り返ってみても、自分にそんなに悪意は持ってないだろうと思われる人の言動でも、なかなか赦すことができないし、忘れることができないのに、まして、あからさまに悪意を持って攻撃してくる相手を赦すということは、本当にできないことだと思わされます。
イエス様は、ご自身の宣教(公生涯)を始めるにあたって、次のような宣言をされました。「イザヤ」61章1節からの引用ですが、

『「主の霊がわたしの上にある。貧しい人に良い知らせを伝えるため、主はわたしに油を注ぎ、わたしを遣わされた。捕らわれ人には解放(アフェシス)を、目の見えない人には目の開かれることを告げ、虐げられている人を自由の身とし、主の恵みの年を告げるために。」』(ルカ 4:18)。

この『解放』と訳されていることば(アフェシス)は、前は「赦免」と訳されていましたが、それは私たちを「自由の身とする」ということであり、実は、このことばの動詞形が、十字架の祈りにある

『父よ。彼らをお赦しください(アフィエーミ)』(同23:34a)

なんです。つまりイエス様は、彼らの罪を赦し、その罪の支配からの解放を願い、彼らが自由な者として歩むことができるようにと祈られたんです。
このイエス様の姿こそ神の愛そのものであると言えます。このイエス様を見れば、私たちにも神の愛がわかります。「神の愛(アガペー)」は、決して甘くロマンチックな、優しさや温かさだけの愛ではありません。そこには、いのちをかけた激しさ、厳しさがあるのです。
先週のメッセージで、Y兄が「ヨハネの福音書」15章13節、

『人が自分の友のためにいのちを捨てること、これよりも大きな愛はだれも持っていません』

というみことばから語ってくださいましたが、イエス様は、そのことばの通り、私たちを友と呼び、私たちを罪の支配から解放し、自由にするため、ご自身のいのちを捨ててくださったのです。

2、二人の犯罪人

そして、今日の場面には、イエス様と共に十字架につけられた二人の犯罪人の姿が描かれています。
その内の一人はイエス様を次のように罵りました。

『「おまえはキリストではないか。自分とおれたちを救え」』(ルカ 23:39)。

このことばは、考えてみればもっともなことばだと思います。この人は、実際にはイエス様のことをキリストと信じてはいなかったと思いますが、イエス様は確かにキリスト(へブル語「メシア」のギリシア語訳)であったわけですから、そのようにしようと思えばできたと思うんです。しかし、そのようにはなさらなかった。それはイエス様が父よと呼ぶ神様のみこころがそうであったからなんですが、ペテロを始めとする弟子たちのほとんどが躓いたのも、この点だったと思います。彼らがイエス様に期待していたのは、強い救い主、強いキリストの姿でした。あの、イスカリオテのユダが裏切った理由も、昔から様々なことが言われていますが、私はやっぱり、彼が側近くでイエス様のことを見ていて、どうも自分が期待していたようなメシアとは違う。なんでもっとイエス様はご自分の力を使ってこの世の問題や矛盾を解決し、自分たちの期待に応えてくださらないのか。そんなことではなかったのかなと思っています。けれども、イエス様が歩まれた道は、そんな彼らの思いとは正反対の道だったのです。
あのパウロも、かつては熱心なユダヤ教徒として、ある意味、弟子たちと同じような道を歩んでいました。しかし、復活のキリストと出会ったことによって、彼も全く変えられました。「Ⅱコリント」には次のようなパウロのことばがあります。

『キリストは弱さのゆえに十字架につけられましたが、神の力によって生きておられます。私たちもキリストにあって弱い者ですが、あなたがたに対しては、神の力によってキリストとともに生きるのです』(Ⅱコリ 13:4)。

<結論>

さて、今日のテキストに戻りたいと思いますが、もう一人の犯罪人は、イエス様を罵る仲間をたしなめて、次のように言いました。

『「おまえは神を恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。おれたちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だがこの方は、悪いことを何もしていない。」そして言った。「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください。」』(ルカ 23:40b~42)。

彼が見ていたのは、もう、この世のことではありませんでした。もっと先にある永遠の世界、神の国のことだけを見ていたのです。
彼には傍観者や評論家のように振舞う時間は残されていませんでした。ですから、彼のこの言葉は、まさに掛け値なし、待ったなしの言葉だと思います。そして彼は、イエス様に「私を天国に入れてください」とは願いませんでした。ただ、

『私を思い出してください』

と願ったのです。それは、彼が心の底から、自分にはそんな資格はない、天国に入れるような資格はないんだ、と思っていたからではないでしょうか。
しかし、イエス様は、そんな彼に対してはっきりと言われました。

『まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」』(同 23:43)。

この『パラダイス』とは、囲いのある庭園を表す古いペルシア語に由来することばだそうですが、残念ながら今の私たちにはその具体的な様子を知ることはできません。ただ、一つだけ分かっていることがあります。それは、そこには、イエス様が「わたしとともに」と言われたように、イエス様がともにいてくださるということです。
少し変な言い方になるかもしれませんが、たとえ私たちが死んでパラダイスに行けたとしても、そこにイエス様がおられなかったら何の意味もありません。そんな所はパラダイスとは呼べないですよね。私たちにとって何よりも大切なこと、それはイエス様がともにいてくださるということです。イエス様がおられない世界。それは本当に恐ろしい世界です。しかし、イエス様は、この悔い改めた犯罪人に言われたのと同じように、私たちが死にゆく時にも言ってくださるのではないでしょうか。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます」と。明日はどんな日になるのか私たちには分かりませんが、このみことばを今朝の自分へのみことばと受けとめて、今週も歩んで行きたいと思います。

メッセージ内容のダウンロード(PDF106KB)

新聖歌

開会祈祷後:105番、メッセージ後:125番

聖書交読

詩編 64篇 1~10節

2021年教会行事

3月24日(水) オリーブ・いきいき百歳体操

#53-2756

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