ひなたの道を歩く

メッセージ

<ヨハネの福音書 7章37~44節>
メッセージ:信徒:Y

開会聖句

「いつでも祈るべきで、失望してはいけないことを教えるために、イエスは弟子たちにたとえを話された。」

<マタイの福音書 10章16節>

メッセージ内容

Youtube動画

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メッセージ原稿を公開しました。 

<はじめに>  
・ヨハネ7章には仮庵の祭りが出てきます。これはユダヤ教3大祭りの1つです。祭りが近づいているのに、イエスさまに行く気配がないので、弟たちは「早く行きなさい」と勧めます。しかし、イエスさまは「わたしの時はまだ来ていません。」と断られました。祭りの最初に行くと捕らえられることを察し、慎重にタイミングを考えておられたのです。そして兄弟たちに遅れて、祭りの半ばに宮に姿を現わされました。今日はその最終日の出来事です。イエスさまは大胆に招きのことばを語られました。ここにいる私たちは皆この招きに応えた者です。今から、招きに応えたものに与えられる恵みを再確認し、更に委ねられた責任について考えようと思います。

<本論>
Ⅰ.仮庵の祭りは人々を生ける水に招くよい機会だった

「祭りの終りの大いなる日」は、宮に集まった人々の熱気が最高に盛り上がる時です。イエスさまもそうでした。「イエスは立ち上がり、大きな声で言われた。」と記されています。祭りがクライマックスに近づき、人々の熱気が高まるにつれ、イエスさまも本当のメシア(救い主)として声を上げずにおられなかったのではないでしょうか。仮庵の祭りは、彼らの先祖がエジプトを脱出して約束のカナンの地に行くまで40年間、荒野で仮庵(仮設住宅)で過ごしたことに由来するものです。今でも、ユダヤ人たちは庭やベランダにテントの小さな小屋を作り、秋の収穫物である果物で飾り、そこで過ごして、先祖の苦労を思い起こすのです。イエスさまの時代には、それだけでなく、別の目的もありました。農耕の儀式です。もうじきこの土地は雨期を迎えるので、これから始まる種蒔きのために十分な雨を願う雨乞いの祭りでもあったのです。

皆さんはフォークダンス踊ったことがありますか。終戦後にGHQの指導によって娯楽の1つとして導入されました。昭和24年から小学校の授業にも取り入れられたので、運動会ではよく踊りました。覚えているのは「マイムマイム」という踊りで、高校時代、友達と楽しく踊った思い出があります。最近知ったのですが、これはイスラエルの曲です。「マイム、~、マイム、ベッサッソン」って歌うのですが、「マイム」というのはヘブライ語で「水」で、「水、水、水、水が出てうれしい!」と人々が手をつないで輪になり、歌っている踊りなのです。古い歌ではなく、1930年作曲で、当時、世界中に散らされ迫害されていたユダヤ人たちが続々と、イスラエルに入植し始めた時代でした。祖国に戻って新しく開拓を始めるのに、先ず必要なのは水の確保です。井戸を掘りあて、わき出る水を見て、彼らは大歓声をあげたことでしょう。歌詞は

イザヤ書12:3「あなたがたは喜びながら水を汲む。救いの泉から。」

からとったもの。神さまの救いを喜び、賛美している内容ですね。

イエスさまの時代、メロディーこそ違え、このイザヤ12:3を歌ったのが仮庵の祭りです。人々はシロアムの池(神殿の南に位置する貯水池)から水を汲み上げ、神殿の祭壇に注いで雨を願いました。祭りの間、朝夕2回、祭司やレビ人が汲んだ水を黄金の器に入れ、500mほどの道を歩きます。人々は行列になってシュロやナツメヤシの枝葉を振り、角笛や太鼓をならし、歌ったり踊ったり(夕はたいまつを掲げて)。たいそう賑やかで楽しい祭りだったそうです。そんな祭りの最高潮のときに、イエスさまは立ち上がり、大声で言われました。7:37~38「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書が言っているとおり、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになります。」人々が収穫のための雨を願う祭りの最後のときに、イエスさまは「いのちの水」への招きをされたのです。イザヤ書の「救いの泉から水を汲む」とは、父が遣わされたメシアであるこのわたしを信じることだと、人々を招いたのでした。以前、これと同じ招きを受けた女性がいました。覚えておられますか。サマリヤの女性です。

「わたしが与える水を飲む人は、決して渇くことがありません。わたしが与える水は、その人の内で泉となり、永遠のいのちへの水が湧き出ます。」(4:14)。

彼女はイエスさまの招きに応じたことで、どんな恵みを受けたのか考えてみましょう。

Ⅱ.招きの恵みを受けた者には責任がある

彼女はお昼の暑い、誰も外出しないような時間帯に、イエスさまが疲れて休んでおられる井戸に水を汲みにきました。真っ昼間に活動してはいるけれど、俗に言う日陰者です。その彼女がイエスさまに出会ってどう変わったでしょう。彼女はそれまでこそこそと人目を避けていました。それなのに、人の中に堂々と出ていって、イエスさまのことを話したのです。

「来て、見てください。私がしたことを、すべて私に話しした人がいます。もしかすると、この方がキリストなのでしょうか。」(4:29)

彼女は世間様に後ろ指をさされるような自分の過去をさらけだしても、もう怖くありませんでした。メシアが彼女の全てを知った上で近づき、あなたは神さまを礼拝するのにふさわしいと言ってくれたからです。今まで彼女を縛っていた、恥や責め、世間の目や常識、そんなものから解放され、闇の世界から光の世界に移ったのです。

サマリヤの女性は日陰の道から日向の道を歩きはじめました。聖書版「サニーサイドオブザストリート」です。「日向の道をさがして一緒に歩いていこうね」。NHKの朝の連ドラ「カムカムエブリィバディ」の大切なテーマであり、登場人物をつなぐジャズの名曲です。私たちはみな、色んなものを引きずって生きています。過去の傷や棘に縛られているのです。でも、日向の道を探して歩いて行こうね、それがイエスさまの招きの意味だと思います。
私たちそれぞれの変化はサマリヤの女性ほど劇的でないかもしれません。でも同じ恵みを受けています。私たちと神さまとの関係は、欺かれることも責められることもなく、ありのままを神さまの前にさらけ出して生きることができるという関係です。ご自分の愛する子として私たちを扱ってくださるのです。しかし、そのようなかけがえのない、他では得られない恵みを受けた者として責任もあるのではと、あらためて考えさせられています。

私にとってこの2ヶ月はまさに「神のなさることは時にかなって美しい。」でした。9月に弟の息子の結婚式がありましたが、コロナ感染拡大で大阪からは不参加。弟は結婚式前日に職場に感染者が出、急遽ズーム参加。おかげで私たちもちょっとだけズームで参加しました。弟は黒の礼服でかしこまって画面に収まっていましたが、式が終わって立ち上がると、下はステテコで私たちは大笑いしました。また、その施設で亡くなった方の骨上げがオンラインだったという話も聞きました。今更ながら、かなり収まっていた10月終わりからの2ヶ月であったからこそ、一緒に過ごすことが許されたのだと、神さまへの感謝が深められています。
親族の葬儀では、最後の骨上げまで参加することが多いと思いますが、これは本当に厳粛な場面です。

「すべての肉なるものはともに息絶え、人は土のちりに帰る。」〈ヨブ34:15〉

肉体の最後ははかないものだと思いました。それゆえ、告別式の説教でも語られたのですが、「この世は、ますます死や老いの現実を遠ざけ、隠そうとしている」と。人の最後を見るとき、もし肉体がすべてであり、そのためにだけ必死で苦労したのなら、もし魂のことなど全く考えていなかったのなら、それはあまりにもアンバランスな生き方だなあと思うのです。神さまが造ってくださった肉体はどれほどすばらしいものでしょう。それをまとって、私たちは地上での与えられた人生を精一杯生きるのです。そこに喜びや満足があります。しかし、神さまはいのちも肉体の中に吹込まれたのです。両方とも大切で、十分なケアを必要とします。
世の人々がそれに気づいてほしいと思います。この時代、宣教がどれほど困難かは、皆さんもよくおわかりでしょう。先週1月17日で阪神淡路大震災27年を迎えましたが、あの年はサリン事件が起こりました。9月11日のアメリカの同時多発テロでは、一神教と一神教の対立と見られ、宗教は益々厄介物になりました。東北の震災では伝道を前面にした働きは不評を買い、ボランティアなどの支援を重視した働きは喜ばれたそうです。コロナ渦で教会の集まりさえままなりません。困難な時代です。どうしたらいいのでしょうか。しかし、だからこそ祈り続けなければと思います。開会聖句は

ルカ18:1「いつでも祈るべきで、失望してはいけないことを教えるために、イエスは弟子たちにたとえを話された。」

を選びました。イエスさまは私たちが状況を見て諦めてしまうことを、今心配しておられるのではないかと思うからです。

<終りに>

8節では、「人の子が来るとき、はたして信仰が見られるでしょうか。」

とも言われました。「だれもが神さまに心を閉ざしてしまった」と、私たちが嘆くような時代を予測されていたのでしょう。でも閉ざされた心を開くのは神さまのわざです。めげずに祈り続けましょう。日向の道を歩く人がこれからも起こされますように。

メッセージ内容のダウンロード(PDF210KB)

新聖歌

開会祈祷後:37番、メッセージ後:242番

聖書交読

詩編 88篇 1~14節

2022年教会行事

1月26日(水) オリーブ・いきいき百歳体操

#54-2800

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